iDeCoとは — 掛金が全額所得控除になる私的年金
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、自分で掛金を拠出して運用し、老後に受け取る私的年金制度です。掛金が全額所得控除になるなど、強力な税制優遇があります。
iDeCoには3つの税制メリットがあります。(1) 掛金が全額所得控除になり、所得税・住民税が軽くなる、(2) 運用益が非課税、(3) 受取時も退職所得控除・公的年金等控除の対象になる、という点です。とくに(1)の節税効果は、所得が高い人ほど大きくなります。
掛金の上限は加入区分で異なり、会社員(企業年金なし)で月2.3万円、公務員で月2.0万円、自営業で月6.8万円などです(2024年の制度改正で変更あり)。最大の注意点は、老後資金づくりの制度のため原則60歳まで引き出せないことです。
節税額を数字で見ます。会社員(企業年金なし)が上限の月2.3万円(年27.6万円)を拠出した場合、所得税率10%・住民税10%の人なら年約55,200円、所得税率20%なら年約82,800円の税金が軽くなります。これが毎年続くため、20年で数百万円規模になります。
2026年12月分(2027年1月引落分)から、会社員・公務員の拠出限度額が月額6.2万円に統一・引き上げられます(企業年金の掛金がある場合はその分を差し引いた額)。現在の月2.3万円(企業年金なしの会社員)・月2.0万円(公務員)から大幅な拡大で、掛金額の変更には手続きが必要です。
受け取りは60歳以降に『一時金』『年金』『併用』から選べます。一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除の対象です。会社の退職金と同じ年に一時金で受け取ると控除枠を共有して税金が増えることがあるため、受取時期をずらす検討が有効です。口座管理手数料(月数百円)も長期では効くので、手数料の低い金融機関を選びましょう。
iDeCoの拠出限度額(月額)
2026年9月現在の上限と、2026年12月分から適用される新しい上限。自営業者は国民年金基金の掛金と合算で月6.8万円です。
| 加入区分 | 2026年9月現在 | 2026年12月分〜 |
|---|---|---|
| 自営業・フリーランス(第1号) | 月6.8万円 | 月7.5万円(国民年金基金等と合算) |
| 会社員(企業年金なし) | 月2.3万円 | 月6.2万円 |
| 会社員(企業年金あり) | 月2.0万円 | 月6.2万円から企業年金の掛金を差し引いた額 |
| 公務員 | 月2.0万円 | 月6.2万円から企業年金の掛金を差し引いた額 |
| 専業主婦(夫)(第3号) | 月2.3万円 | 月2.3万円 |
掛金の所得控除で軽くなる税金(年間の目安)
掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象。住民税は一律10%として計算。
| 毎月の掛金 | 年間掛金 | 所得税10%の人 | 所得税20%の人 | 所得税33%の人 |
|---|---|---|---|---|
| 月2.3万円 | 27.6万円 | 55,200円 | 82,800円 | 118,680円 |
| 月6.2万円 | 74.4万円 | 148,800円 | 223,200円 | 319,920円 |
よくある質問
Q. 60歳より前に引き出せますか? A. 原則できません。例外は高度障害や死亡など限られた場合のみです。近い将来使うお金は新NISAなど引き出せる制度に置いてください。
Q. iDeCoとNISA、どちらを先にやるべき? A. 所得があり税率が高い人ほどiDeCoの節税効果が大きい一方、流動性はNISAが上です。生活防衛資金を確保した上で、余裕資金の一部をiDeCo、残りをNISAが一般的な順序です。
Q. 転職したらどうなりますか? A. iDeCoの資産はそのまま持ち運べます(ポータビリティ)。転職先に企業型DCがある場合は移換や併用の手続きが必要になることがあります。
出典・最終確認
厚生労働省「iDeCo拠出限度額の引き上げ(2026年12月〜)」/iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)、国税庁「退職所得の源泉徴収税額の速算表(令和8年分)」。最終確認:2026年9月7日。制度は改正されることがあります。実際の判断は最新の公式情報でご確認ください。
iDeCoは「節税しながら老後資金を作る」制度。ただし60歳まで引き出せないため、生活防衛資金や近く使うお金は新NISAなど引き出せる場所に置き、余裕資金をiDeCoに回すのが基本です。

